住宅性能表示について

大きな基準は10項目
住宅の性能を表示する基準(共通のものさし)は、下記の10項目です。それぞれが更に細かい項目に分かれており、基本的には、住宅取得者が比較検討しやすいように、等級や数値が示されています。
これまでは建築基準法に合致していることが一つの要件になっていましたが、住宅性能表示制度では、構造の安定等については建築基準法が遵守が最低ラインの等級1に該当し、等級が上がれば、それだけ性能が高いということになります。
@構造の安定
地震や風などに対する建物の強さがどれだけかを表したもので、耐震性(倒壊のしにくさと損傷の受けにくさ)、免震建築物、耐風性、耐積雪性、地盤の許容支持力等、基礎の構造の7項目に分かれています。このうち、耐震性であれば、建築基準法に定める程度の地震が起きても、倒壊したり損傷しない強度が等級1で、等級2、等級3は、その1.25倍、1.5倍の地震にも耐える強さを示します。
A火災時の安全
火災時の暗線対策は2種類あります。一つは、万が一家から火が出たときに一刻も早く逃げ出せること、もう一つは、隣家の火災による延焼を防ぐこと、当項目では、この両面についての性能が表示されています。
 前者については火災感知警報装置の設置や避難のしやすさを等級で表示します。尚、義務化される以前の建物(平成18年5月申請まで) は評価がになってます
 後者に関しては延焼を防ぐための外壁材等がどれだけ耐火性を有しているかなどを示すものであって、外壁材については4段階に分かれています。対象となる外壁等は、1階なら隣地境界線や道路の中心線から3m以内、2階以上の場合は5m以内の部分で耐火時間1時間相当以上が等級4、45分相当以上が等級3、20分相当以上が等級2でその他が等級1となっています。
B劣化の軽減
建物は定期的に適切な手入れをしていかないと劣化が進むので、建設時に材料の選定や防湿処理など劣化しにくい工夫をしておく必要があります。
 木造住宅なら構造躯体である土台や柱を腐食しにくくしておくことが大切です。そのためには、湿気に強い材料を使うか、湿気を減らす工夫が必要で、たとえば湿気に強い種類の木材を使う、防蟻・防腐処理を行なう、床下全体をコンクリートで固めるなどが有効です。
C維持管理への配慮
 
一般に、給水管、排水管、ガス管の設備配管の寿命は建物本体の寿命より短いとされており、定期的な清掃や点検、修理、交換が必要です。その際、点検や工事が簡単に出来るかどうかが、維持管理への配慮にあたります。例えば、点検修理を行なう場合、建物の骨格をなす構造躯体部分に影響を及ぼさないよう配慮されているか、あるいは内装材や外装材に影響を及ぼさないよう配慮されているかなど、メンテナンスのしやすさで3段階に等級分けされます。
D温熱環境
日々の暮らしに、冷暖房設備を使うのは当たり前の時代になりましたが、そのエネルギー使用量をできるだけ抑えていくことは、地球温暖化防止など環境保護のために非常に大切です。そのためには断熱材や断熱性の高い窓を使用して熱を逃げにくくしたり、隙間を減らしたりするなど、冬は暖かく、夏は涼しい省エネ型の家作りが求められています。
E空気環境
内装材等から放散されるさまざまな化学物質が、人体に悪い影響を与えるとされています。その中でも特に問題となっているホルムアルデヒド対策を評価しているのが、この項目です。
室内の空気環境を一部屋ごとに調査するのは大変ですから、部屋の内装材及び天井裏などの下地材にどんな材料を使用しているかで判断する事になっています。床・壁・天井に使用するフローリング材や合板・クロスなどには、日本工業規格(JIS)および日本農林規格(JAS)で定められたホルムアルデヒドの放散等級F☆☆〜F☆☆☆☆があり、性能表示ではその等級によって3段階に分かれています。
F光・視環境
窓から太陽の光がいっぱい入ってくる家が欲しいと思ったとしても、窓がどの方角に向いているかによって、光の入り具合は一様ではありません。また、最適な光を採り入れることは視覚への負担をやわらげる効果もあります。ここでは東面、南面、西面、北面、さらにトップライトの窓面積を計算して床面積に対する割合を記入するようになっています。また、方位別の開口比もあわせて表示します。
G音環境
マンションなどの共同住宅では、隣の部屋や上下階の騒音が原因でトラブルが起きないとも限りません。こうした隣や上下階の音を遮る対策がどの程度実施されているかを等級で示したのが「音環境」の項目です。主に共同住宅が対象ですが、一戸建て住宅でも外部の騒音をなるべく入れたくない場合は窓に使うサッシの遮音性能に応じて等級分けがされています。
 なお、この音環境に関する性能表示については記入しなくてもよく(選択項目)、また、記入しないからといって、住宅性能表示制度の評価の妨げにはなりません。
H高齢者等への配慮
人口の高齢化が進む日本では2015年には65歳以上のシルバー世代のいる世帯が全体の4分の1に達するといわれています。老親と暮らす場合はもちろん、自分たちの老後を考えてマイホームを設計する段階から、高齢者に優しい家つくりに取り組んで行く事が大切でしょう。
 高齢者が住みやすく、動きやすく、また介助を受けやすいようにするにはバリアフリーなどのいろいろな工夫が必要です。
 この項目では、廊下の幅や階段の寸法、段差などいくつかのチェック項目を5段階で表示しています。
I防犯への配慮
防犯性の向上に対する消費者の意識が高まり、平成14年10月より、国土交通省・警察庁・民間団体等により「防犯性の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同協議」により「開口部の侵入防止対策」の考え方がまとめられ、平成18年4月より、住宅性能表示制度の第10番目の分野に取り上げられました。
 この項目では、住宅の開口部を、外部からの接近のしやすさに応じてグループ化し、それぞれのグループごとに、防犯建築部品を使用しピッキング対策で10分以上、5分以上5分未満を表示します。

これから住宅を御考えの方へ
住宅性能表示制度は、法律で義務づけられている瑕疵担保保証制度と違い、住宅取得者が利用するかどうかを選択する制度です。ですから、各項目についてどの等級を希望するかは任意ですが、注意すべき点は、すべての項目を最高にしても本当に意味があるとはかぎらないということです。
たとえば、構造に関する項目で等級を上げようと思えば、壁の量がたくさんいるために、窓の開口率は減らさざるをえないでしょう。また、高齢者対策の等級を上げようとすると、間取りに余裕が必要となり、建物の面積が増えて工事費が上がってしまうかもしれません。
本当に欲しい性能は何なのか。現時点のニーズだけでなく、何十年か先の家族状況についても予測しつつ、慎重に選択する必要があります。